研修概要

社会において求められている理想の医師像は、もちろん多くの医療知識と、高度な技術を持つということはとても大切であるが、それ以上に高い倫理観と豊かな人間性、常に科学的な妥当性、探求能力、また社会発展に貢献する使命感と責任感を有する全人的な医師です。 そして徳洲会グループの病院では医療・医学は患者さんの為にあるという「医の心」を重視し、患者さん中心の医療を展開してきています。

General Physicianの育成

臨床医としてまずGeneral Physicianの育成を目指しています。 そして、幅広い知識と技術を身につけてから、専門分野に進み優秀な専門医の育成を目指します。その為、研修を初期研修と専門研修に大別しています。


研修で学ぶこと

研修で学ぶこと

卒後3年目までの期間でGeneral Physicianとしての教育を行います。 研修方法は、内科、外科、救急医療、産婦人科、小児科、地域医療、麻酔科を中心にローテーションし、EmergencyCareやPrimary Careをマスターする時期としています。
私たちの目指す General Physician とは Primary CareとEmergency Careをしっかりと身につけ、小児から老人まで、男女を問わずどんな状態の患者でも診察、診断し、適確に初期治療を行い、各科専門医に良好な状態でその治療を委ねることができる医師のことです。 もちろん自分の専門領域に関しては、責任をもって最後まで治療にあたることができなければなりません。 これは、世界中どこの国でも当たり前の臨床医に対する概念です。

Primary Careを実践するためには、最低、内科、外科、小児科、産婦人科はローテーションすべきです。
特に、内科は、臨床医学の基本です。どの科を目指す先生も内科の研修は、最も大切と考えます。 また、必要に応じて整形外科、麻酔科、眼科、形成外科、精神科、病理、脳外科、耳鼻科、皮膚科などをローテーションし、幅広い臨床知識をつける必要があります。


なぜローテーション方式なのか?

一般臨床で、もしあなたが内科医か、外科医だった場合、妊娠中の女性の腹痛を診て「わたしは産婦人科ではありません。」元気のない小児を診て「わたしは小児科ではありません。」などと言っていいのでしょうか。 本当に内科的疾患や外科的疾患がないと言えるのでしょうか。 それを診断するのにそんなに時間はかからないと思います。 しかし、婦人科や小児科の診察法や症例を経験していないと、その場であなたは自分が無力であることを感じるでしょう。
また、僻地・離島医療研修、在宅医療研修も取り入れており、General Physician としての教育が修了した時点でそれまでに身につけた知識・技術を僻地離島で生かし、近代的医療に接することができなかった患者さんと接することによって、今までに経験できなかった患者さんとの心の触れ合いや、新たな発見ができるものと思われます。 また僻地・離島の医療状況を短期間直接肌で感じることができるのも良い経験になると思います。 さらに在宅医療研修は、これからの高齢化社会を迎えるにあたって、是非経験しておくべきと考えています。


Emergency Care救急救命の必要性

Emergency Care救急救命の必要性

我々のEmergency Care に対する概念は、臨床に携わる医師全てが身につけておかなければならない救急患者に対する正確な診断力、正しい初期救命処置実践能力の養成です。 皆さんは、テレビドラマの「ER」や「シカゴ・ポープ」を観たことがありませんか。私達の救急に対するイメージはそこにあります。 つまり救急部は全ての診療科と直結しており、独立して全ての診療科にまで対応するという考え方は持っていません。 各科独自の Emergency Care は、専門科に治療を委ねるべきと考えます。例えば、頭部外傷は脳外科、腹部外傷は外科、両者同時なら2つの科で 同時に治療に当たるのが理想と考えています。

Emergency Careには、medical emergency、surgical emergency、pediatric emergency、gynecologic emergencyなどがあり、各科ローテーション中にこれらemergency care に対応する対処法をしっかり身につけることと考えています。 Emergency Care は、頭で理解していてもできるものではありません。 可及的速やかに正確な診断と処置が要求されるもので、現場にいる医師の実力がそのまま患者の生命を左右することになるのです。 従って、各科での十分なトレーニングと救急部での経験が必要とされます。
徳洲会グループの卒後臨床研修では、豊富な症例をもとにして、Primary Care と Emergency Care の研修を十分行うことができます。