当院外科の特徴は、地域性および当院の状況により、救急疾患から慢性疾患、悪性疾患、他科との境界領域疾患など多岐に渡る疾患の治療に対応することです。
必須科目としての2~3ヶ月および自由選択を含めても数ヶ月の短期間でありますので、この間に外科疾患全体を網羅することは不可能です。
外科初期研修としては、外科という看板で患者さんに対応する場合に、どのように答えるかを理解、体得しておくかが、ある意味では最も重要なことであると思います。この点に配慮し、実際の外科診療を経験し、患者さんのニーズに適確に対応できるように研修して頂きます。また、将来どの科に進むにしても実のある外科研修を経験するために、初期研修医皆様のご希望にも考慮いたします。
当初から、外科志望の方には、外科学会入会にてまずは、専門医取得を目標にしていただき、多岐に渡る症例を経験していただけるように、配慮いたします。
副院長 坂井 昇道
- 専門分野:一般外科
- 資格:日本外科学会専門医・麻酔標榜医
- 所属学会:日本消化器外科学会、日本癌治療学会、日本乳癌学会
期間
必須:3ヶ月(1年次)+自由選択(2年次)
一般目標
◆救急および一般外来、入院患者さんが外科に期待する対応に答えられるようになる。
行動目標
◆外来診察、術前管理、手術、術後管理を指導医とともに行う。
◆外科手技を可能な限り習得する。
患者さんとご家族が症状をどう捉えているかを理解することが大切。
いろんな症状で受診され、あるいはご紹介をいただき、ガンの疑いのある患者さんを診察させていただいておりますが、わたくしどもが一番気になるのは、その方およびご家族を含めて周囲の方が、今の症状に対してどのように考えておられるかということです。診察の最初の段階で、この点を把握することが最も重要であると考えます。患者さんによって、病気に対する考え方が千差万別であり、特にガンに対しては非常にデリケートな部分があるため、ご本人やご家族が納得されて一緒に診療を進める必要があるためです。
例えば、いろんな症状を悪く捉える方とそうでない方で、対応が全く異なってきます。直腸ガンを含めて大腸ガンを例にとりますと、その最も重要な症状のひとつは血便です。この症状を悪く捉えると、すなわち大腸ガンとなり、軽く捉えると、切れ痔とかイボ痔や腸炎ということになります。それぞれ診断が患者さんの捉え方と合致している場合は、最初から患者さんと一緒にその病気に取り組むことができますので、すでにハードルはひとつ越えており、とりあえず問題はありません。しかし、異なる場合には大きな問題となります。
痔や腸炎の方に、「ご本人が心配しているから」といってCTや大腸内鏡検査を実施するのは、お体にもコストもご負担が大きくなります。一方、大腸癌の方に「ご本人が軽くとらえて検査を嫌がられるから」といって、検査を実施しなかったら見過ごしてしまうことになります。
また、「近所の人から・・・・と言われて心配で」と受診されることがあります。この場合も、その通りであればあまり問題ありませんが、そうでない場合には、その心配を否定し、全く新たな問題を解決する必要がある場合には、大変な(たくさんの検査を必要とする)ことになります。